ウルトラC

好きなものを好きなだけ

オンナノコの味方

こんばんは。

今日は好きな漫画について話そうかな〜〜と。

わたしは本当に吉田秋生先生の作品が大好きなんですけど、この前『吉祥天女』を読み返して記事が書きたいってなったので衝動的に。需要はないよなあ(笑)


これは文庫版なんですけど、表紙が少女漫画じゃない(笑)

昔々、天女が地上に降り来たり、
神官の息子と夫婦になった……。
伝説的な由来をもつ
叶家の娘・小夜子が街に帰ってきた。
17歳。凄絶な美貌。
地に囚われた自らの運命を呪う少女。
そして転入先の高校には、
叶家の財をねらう遠野家の暁と涼がいた。
陰謀渦巻くこの街で、
小夜子の領域を侵す者が次々に死んでゆく。
青春の白日夢にも似た、
吉田秋生の幻想綺譚。

まあこれが公式のあらすじなんですけど、こんな話なんだけどこんな話じゃないんだよなあ。

本当に言葉を尽くしても説明しきれないほど秀逸な作品なわけだけど、わたしがこの作品が大好きな理由は、登場人物(主に主人公の小夜子)のセリフだ。

小夜子のセリフには女の生き方が詰まっていると思う。

ネタバレになってしまわないか本当に心配なんだけど、いくつか紹介しようと思う。

「女はね血なんて怖くないのよ…だって毎月血を流してるんだもの」

「女であるということが時どきどれほどの屈辱をもたらすか…あなたたち男にはわからないでしょう」

「男のディフェンスと女のデイフェンスは違うのよ。ついでにオフェンスもね」

「わたしが生まれてきたことにもわたしのまわりの人たちにも…わたしをとりまくあのすべてのことにわたしは腹を立てているのよ」


わたしたぶんこのセリフたち一生忘れないと思う。
泣きたくなるくらい大切でわたしという女を奮い立たせる言葉たち。

各々のセリフを言う場面が結構物語に重要になってくるので詳細は省くんだけど、これだけの重量のあるセリフを主人公に言わせるのって本当に吉田先生には頭上がらないです。



あと、登場人物のセリフで本当に各々にとっての「小夜子」が全く違ってくる。そこもすごいなあと感嘆した。小夜子はどういう少女なのか、掴めない奇跡のような存在がある人にとっては悪魔で、ある人にとっては崇め奉るべき教祖で、本当に小夜子の強かさがどう人々に印象を与えるか、すごくすごく生々しく伝えてくる。それが恐ろしくもなるんだけど、リアルな感触があって、目をそらすことができないこの感じ。ほんとうにすごい。

そして出てくる少女3人がこの多感な時期の少女を3つの類型に綺麗に分けたようなキャラクターで、女の子のことをよくここまで分析したなあとおもう。そして女の子をとても大切に愛してるんだなあと思う。
そういうところとかとってみても、吉田先生って本当に圧倒的女の子の味方なんですよ。きっと先生自身も女というだけで苦渋を味わったことあるんだろうなと思うし、女というだけで生きにくい世の中を生きてきた女の子はみんな本当に共感できることがこの作品には見つかると思う。

これ男の人が読んだらどういう感想になるのかもきになるなあ、、、

少女漫画なんだけど、全然甘ったるいものではなく、ヘビーなんで少年漫画しか読みませんみたいな人にもかなりオススメです。完全版は全2巻。1日で読めちゃうから、是非夏休みに読んでみてください。へへへ

お題「好きな作家」