ウルトラC

好きなものを好きなだけ

自由であるべきは心のみにあらず!

こんにちは。

心を悩ます非日常が続いていますが、少しでも心休まる時間が皆さんにあることを祈っています。

 

わたしはスポーツに打ち込む子供時代を過ごしてきたので長期休みといえどもこれほど自宅で休む時間を過ごしたことはありません。なんだか学生最後に夏休みが与えられたみたいだなと思ったりして。ただこんなにのんきでいられるのは安心して生きていられるように支えてくれている母のおかげであることは忘れてはいけないなと。

休みの日は外で過ごす派の人間とはいえ、ちゃんと自分と自分の大切な人を守るために自宅で過ごしてます。外に出なさ過ぎて歩く筋力もなくなりそう(笑)

 

あと、自粛生活のお供になればと思いあと一か月ほど続くこの生活の中でいろいろなことを文字に起こそうかなあと思っております。ただ、ブログのモットーが「好きなものを好きな時に書く」なので、だれがこんなもの読みたいんだよー!という意見が出るかもしれないけど悪しからず。あとは頻度もそれほどは期待しないでください(笑)

 

さて、タイトルを見て何か分かったあなたは私の同志!

今日は大好きなベルサイユのばらについて書こうと思います。タイトルはオスカルの言葉で、私の大好きなセリフです。

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ベルばらとの出会い

わたしが初めてベルばらを読んだのはたしか中学生の時。

幼いころからテニスをしていたこともあり、中学生の時に「エースをねらえ」を読んだ。髪の毛ふわふわ、睫ばっさばっさ、瞳はきらっきら。当時私が読んでいた漫画とは似ても似つかない絵柄に圧倒されたものの、話の骨子、構成力の高さに魅了され夢中になって読んだ。多分テニスしていなかったら、ここまでのめりこまなかったかもしれないし、もしかしたらこれがきっかけでテニスを始めていたかもしれない(笑)

この時代の漫画はこれほどまでにおもしろいのか!と感銘を受けた私は読み切った次の日に図書館に向かい出会ったのが「ベルサイユのばら」だった。

夢中になって一日で読み切ってしまった。絵柄なんて気にならない。むしろベルサイユの豪華絢爛なさまを伝えるのにいい仕事をしている。史実に基づいて描かれているだけあって本当にオスカルはいたんじゃないかと思ってしまうほどだ。

それからずっとベルばらに魅了されているままだ。フランス革命が範囲であった世界史のテストでは満点を取っちゃうくらい何回も読んだし、世界史を好きになったのはベルばらのおかげといっても過言ではない(笑)

 

私が思うベルばらの魅力

あらすじと主人公

知らない人もいるかもしれないから簡単なあらすじを載せておく。

 1770年春。オーストリア帝国ハプスブルグ家の皇女マリー・アントワネットは14歳でフランスのブルボン家に嫁いできた。王太子妃を護衛する近衛士官オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェは由緒ある将軍家の末娘でありながら、後継ぎとして剣も学問も修め、男として育てられる。異国の宮廷で孤独を深めるアントワネットはパリ・オペラ座の仮面舞踏会でスウェーデンの貴公子フェルゼン伯爵と知り合い、恋に落ちる。3人は共に18歳。運命の出会いの夜だった。(文庫版 第1巻 裏表紙)1770年春。オーストリア帝国ハプスブルグ家の皇女マリー・アントワネットは14歳でフランスのブルボン家に嫁いできた。王太子妃を護衛する近衛士官オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェは由緒ある将軍家の末娘でありながら、後継ぎとして剣も学問も修め、男として育てられる。異国の宮廷で孤独を深めるアントワネットはパリ・オペラ座の仮面舞踏会でスウェーデンの貴公子フェルゼン伯爵と知り合い、恋に落ちる。3人は共に18歳。運命の出会いの夜だった。(文庫版 第1巻 裏表紙)

革命前夜のフランスを舞台に4人の若者の、半生を恋愛と革命を軸に時代に翻弄されたその悲劇的な結末までを描く。

文庫版だと番外編を含め全5巻。単行本?なら本編は全9巻。

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主人公はオスカルだけだと考えられがちだが、実は彼女とマリー・アントワネットとフェルゼンの三人が主人公なのである。前半はオスカルとアントワネットが中心、中盤はオスカル中心、最後はアントワネットとフェルゼン中心のストーリーなのだ。

 

以下はネタバレも含んじゃうのでまっさらな状態で読みたかったらここまででストップ!

 

深い人物描写と「愛」

 

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まずベルばらは「愛」を抜きには語れない。

革命の嵐の中で一瞬の生を悔いなく生きた恋人たちの物語。(文庫版 第5巻 裏表紙)

最終巻のあらすじにも書いてある通り、中高生のころはこの恋愛模様に夢中になった。アンドレのオスカルへの命を懸けた愛、オスカルの秘めた恋、アントワネットとフェルゼンの道ならぬ恋。4人を利他的で献身的な「愛」があふれた人物として描くことにより、この4人の恋愛模様が愛憎渦巻くものではないのだ。これは池田先生の人物描写の賜物だと思う。そして、革命前夜の陰謀と憎悪が渦巻く薄暗い時代だからこそ、彼らのただただまっすぐで純粋な恋愛が輝くのである。

本来恋敵であるはずの相手を誰よりも尊敬しているからこそ、そして愛した相手を大切に思うからこそこの関係性なのだと思う。

アンドレはフェルゼンに対して一目置いている。もしフェルゼンとオスカルに結婚話がでたらきっとその苦しみに耐え結婚を見届けてしまうんじゃないかなというくらい、オスカルの周りにいる男の中では別格なんだと思う。だからこそ平民の飲み屋で平民と喧嘩するシーンでも、まっさきにその叶わぬ恋に苦しむオスカルを「こみあげる心の苦しみをひとりではかかえきれないこともあるのだろうに…」と心配するのだ。切ない…。

オスカルはアントワネットに対して心の底から尊敬しているのだ。それはアントワネット護衛の近衛士官という役割だからではなく、一人の人間として誇り高い彼女を尊敬しているのだ。オスカルの言葉の端々からわかることだけど、印象的なのは、娼婦出身で国王の愛人のデュ・バリー夫人に普仏間の戦争を避けるために声をかけるシーン。フランス宮廷は堕落したと泣くアントワネットに対し、「なんという…なんという誇り高い人だ…この方は生まれながらの女王…!」と圧倒されているのである。もちろんアントワネットもオスカルを寵愛しており、そのことが前提にあるものの、オスカルはそれを超えた愛情と忠誠を示すのである。だからこそ、地に落ち行く女王の評判をもとに忠告し続けるし、王女を守るためにフェルゼンにフランスを離れるよう伝えるのだ。

運命に翻弄された4人だけど、命を懸けた「愛」により彼女らの生が輝いたのだろうなあと思う。

でも彼女らの「愛」だけがこのベルばらの「愛」ではない。

ロザリーのオスカルに対する憧れ、ばあやの男装するオスカルの心を思う愛、アントワネットやジャルジェ将軍の子供への愛、ロザリーとベルナールの寄り添う普遍的で世の摂理であるような愛(唯一現世で結ばれるふたりかも!)etc…

一つ印象に残っているのはジェローデルの言葉。オスカルに求婚を断られたときに「うけとってくださいわたしの…ただひとつの愛の証です…身を…ひきましょう…」というのだけれど、「あんたにオスカルの何がわかんねん!!」って思ってたアンドレ贔屓のわたしは、このシーンで絶句してしまった。愛にはこんな形があるんか…この人はこんなにオスカルのこと愛してたんか…と圧倒されてしまった。

すさまじい憎悪渦巻く革命前夜でも、当たり前に「愛」は存在し、様々な「愛」に溢れているからこそ、この物語が重厚で深い味わいのあるものになるんだと思う。

 

オスカルという生き様

 

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大学生になって読み直すとこの作品の最も素晴らしい点を見逃いしていたことに気が付いた。それは見出し通りオスカルの生き方だ。

革命で平民の女性も立ち上がるようになり、本当に少しずつ女性が家父長制の枠組みを筆頭とした押し付けられた「女らしさ」に疑問を持ち出すほんとの起源になる時期なので(ヴェルサイユ行進が最たる例)女たちが立ち上がる感じがすごく好き。

自由に自分の意思を貫く凛とした少女が主人公のまんがはベルばら以前から存在するけど、その多くは魔女など「人間ではないもの」である。つまり、女は特別な能力を持たず自らの意思で勇気を持って行動しないものであり、そのようなことができるのは「魔物」であるというのだ。馬鹿げている。そういう中で、女性としての美貌も魅力も、そして男性としての生き方も美質も兼ね備えたオスカルは、男として育てられたが、特殊能力を持つわけではなく自分の勤勉さと努力で「自由に生きる」ことを体現し、多くの女性が憧れる「女らしさ」の向こう側へと大胆に飛び越えていく。オスカルの存在は「どのような生き方をすればいいのか」と悩む女性のうつうつとした気持ちを浄化してくれるのだ。もちろん私もその一人である。

これだけでなく、立場におごらず、「素晴らしいものは素晴らしい、間違っているものは間違っている」と柔軟に受け入れその正義を全うすることができる心がとても好きだ。それが彼女を革命の渦にまきこんでしまうのだけど、自分自身で考え行動するだけでなく、そのための情報収集を怠らないところ、話を聞く人に偏りがないところは生きていくうえで重要なことであり人として学ぶべき点だと思う。

当時謀反人か平民しか読まないといわれていたルソーやヴォルテールといった書物を読み、父親に怒鳴られた時も「すぐれた書物は身分・階級をこえて人々をひきつけてはなさないもの…人間であればこそすぐれた書物を読みたいとねがうのはとうぜんでございます」と毅然とした態度ではねのけるのだ(このあと「私は人形ではない!」とはっきり伝えるんだけどそこもセットで最高)。オスカルは心根がかっこいいのだ。

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彼女が学びえたもので大切にしていたのは、「自由」である。どんな人間でも人間である限り心は自由だと言った台詞も名台詞だが、その後国民を守るために動き出すときにいう「自由であるべきは心のみであらず‼人間はその指先1本髪の毛1本にいたるまですべて神の下に平等であり自由であるべきなのだ」という台詞こそが、彼女の正義なのである。

書物や酒場で出会う人、フランス衛兵隊で出会う人々から、自分がいかに無力かをつきつけられても、なお折れずに、正義を全うするために自分ができることを考え行動する彼女の姿に胸が熱くなり勇気をもらうのは必然である。

 

おまけ

宝塚歌劇団のベルばらもオスカルとアンドレ編(14年雪組)とフェルゼン編(14年花組)を映像で観劇しました。

これを舞台化できるのは宝塚だけだなという感じと、宝塚の威信をかけて上演してますって感じがすごかった。オスカルアンドレの描き方は当然漫画のほうが好きだけど、おススメはフェルゼン編です。雪組の方はアラン役の彩凪翔さんがとってもかっこよかった。花組の方は、明日海りおさんのフェルゼンが麗しかったのと望海風斗さんのアンドレが変わらず上手かった(今私は望海さんに夢中なのです(笑))。でもまあ漫画を読んでください。あの世界観は漫画を読んでその華やかさに魅了されたものだけが楽しめるのかな、と。

 

最後に

細かい言葉の使い方とか描写の仕方で語りたいところはたくさんあるんだけど、それはここで書くのは野暮な気がするのでやめておきます。

愛がこぼれすぎて約5000字に及ぶ超大作になってしまった(笑)

愛の力はすさまじいなあ…

もしこれを読んでベルばらに興味を持ってくだされば幸いです。自粛生活のお供にしてみてください。後悔はさせません。もし学生さんが読んでいれば、世界史の勉強にもなるので是非に!私は漫画をきっかけに世界史や日本史に強くなったので(笑)

また勉強になるおススメ漫画探します!シリーズ化は期待できないけどね(笑)

 

では、今日はここまで!ごきげんよう